着脱式ふくらはぎ

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【昆虫食レビュー・後編】はじめての虫(チュウ)

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昆虫食の販売、通販などを行なっているサイト、「昆虫食のTAKEO」さん

takeo.tokyo

で購入した昆虫食をレビューします。

 

前編に引き続き後編です。前編はこちらからどうぞ→【昆虫食レビュー・前編】はじめての虫(チュウ) - 着脱式ふくらはぎ

 

 

 

・【昆虫干物 広島こおろぎ】

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写真左側の商品ですが、まずパッと目に付くのはその大きさです。恐らく通常サイズであろう二本松こおろぎと並べてみるとおおよそ1.5倍から2倍ほどの差があります。

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また、二本松こおろぎや嵐山こおろぎは乾燥してパリパリの食感だったのに対し、こちらの広島こおろぎは半乾燥で加工されており、かなりソフトな食感です。まだ前者のこおろぎの方がスナック感覚で食べやすかった気がするのですが、この広島こおろぎのサイズと柔らかさからはどうしても「あの日原っぱで出会ったこおろぎ」感を想像してしまい、食べるまでにまあまあ勇気がいります。

ただ、口にさえ運んでしまえば何の問題もありません。解凍してすぐの状態で食べてみると、ソフトな食感からジューシーなうま味とコクが染み出してまるで油揚げのような雰囲気です。さすがに3種類目のこおろぎなので、だんだんとこおろぎ独特の風味が分かる様になってきました。

 

この広島こおろぎはアーモンドを食べて育っているらしく、TAKEOさんのサイトでも「少しトースターで温めるとアーモンドの甘い香りが漂ってくる」という旨の説明がされていました。その通りに温めてから食べてみると、確かにローストされたナッツのような香ばしい香りが。最初に油揚げっぽいと感じたのも、中身が豆腐のようなふわふわほろほろとした食感とコクだからでしょうか。

香ばしさやコクの他にも、どことなくフルーティさが感じられ、ドライフルーツに近いようにも思います。少し温めたほうが、外側のカリっとした歯ごたえと中身との変化が出て面白い食べ応えになりますし、最初は解凍してすぐの状態よりも温めてからの方がハードルは低くなる気がします。(もちろん、最初に虫の柔らかさを楽しみたい方はそのまま食べてみるのもいいかもしれません!)

あと、途中から噛んでいると他のこおろぎでは感じなかった目の存在感が気になってきます。まあ、煮干しやホタルイカを食べている時と同じと考えればそこまで気にする必要もないのかも…?

                                                                                        

〇こおろぎナッツチョコレートバー

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こおろぎとミックスナッツを軽く乾煎りし、

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刻んで溶かしたチョコレートと混ぜてドライフルーツのように扱ってみました。割と普通においしいチョコができました。

チョコレートに対してナッツとこおろぎが多めだったので、食べ応えのあるチョコレートバーです。ナッツと一緒にチョコに入ることで、こおろぎの食感はパフやシリアル、味はコクのあるドライフルーツといった感じです。

そのままのこおろぎを食べると、どうしても細かい足や羽が口に残りやすいので「虫食べてる~~!!」となりがちなんですが、「ナッツの薄皮かな?」くらいの気持ちで食べられるのが一番嬉しいポイントかもしれません。独特な虫っぽい香りも分かりにくくなり、意外と初心者向けのアレンジです。

 

簡単に作れますが、唯一の難点はこおろぎを刻むビジュアルが中々キツイことです。この工程は無心で行いましょう。それか、いっそのこと刻まずにそのままのこおろぎにチョコをコーティングしてみればまだ作りやすい気もします。キャラメリゼしてみても良さそうですね。

 

・【昆虫釜揚げ 京都かいこ蛹】

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写真右側の商品です。こちらは釜揚げとのことで、恐らく柔らかさなどは最も生の昆虫そのものに近いのではないでしょうか。昆虫ふりかけでだいぶかいこには慣れたつもりだったのですが、瑞々しくふっくらとした姿を見て少し怯んでしまいました…

シンプルに少し醤油をつけて食べてみました。

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噛むとプチっとした食感と共に水分がじゅわっと溢れます。他の昆虫が比較的油分の多いコクだったのに対し、さらりとした味わいに驚きました。広島こおろぎと同じで、中身はこちらも豆腐のようなふわふわとした食感です。もしかしたら生の昆虫の中身は皆こんな感じなのかもしれません。

淡泊でさっぱりとしつつもうま味やコクはしっかりとあるので、何個でも飽きずに食べられそうです。イメージするとしたら、「豆乳を少し薄めた液で作った人工イクラ(大きめ)」といった感じでしょうか。皮の強度はしっかりしていますが薄いので、ナッツや豆類の薄皮が少し口の中に残るといったくらいでそこまで気になりません。

 

後味はふりかけに入っていたものと同じで、かいこ独特の風味といった感じです。釜揚げではここまでジューシーなさなぎが、乾燥されるとまるであられのようなサクサクとした食感になるのはやはり油分よりも水分が多いからなのでしょうか?

 

〇かいこのさなぎポタージュ

さなぎをすり鉢で潰し、ペースト状にしてから裏ごししてなめらかにします。そこに牛乳とコンソメ顆粒を適量加えて鍋で軽く火を通せば完成です。

さなぎをそのまま食べた時に感じた大豆のような風味に牛乳のクリーミーさが合わさって味は完全に豆乳になりました。写真を取り忘れてしまったのですが、見た目も完全に豆乳のポタージュでした。

ここまで豆っぽさが強いため、もしかしたら大豆や豆腐が苦手な人はかいこのさなぎの風味も苦手な可能性があるかもしれません。

 

先程の広島こおろぎと同じく、こちらも食べやすくなる代わりに調理中のビジュアルが中々強烈です。すり鉢でさなぎをすりつぶす準備の段階が一番キツいものでした。こちらも無心で行ったほうがいいでしょう。怯んだらそこでおしまいです。

 

ししとうとかいこのさなぎの焼き浸し

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他の食材があることで、プチっとした食感が紛れて少し気持ちは楽になります。ししとう自体に苦みや辛みがあるため、淡泊なさなぎとの相性は非常にいいです。やはり、だしの効いた汁に浸すことで豆腐っぽさは増します。

 

ふと思いついて、インスタントのお吸い物にも入れてみました。味は良いのですが、見た目はまだ慣れないですね…味噌汁なら見た目も馴染んでアリかも?

 

・【タランチュラ】                    

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甲殻類っぽさは今回食べた昆虫食の中でもずば抜けてトップだと思います。もし何も知らずに食べたら海老の尻尾や殻だと思うかもしれないですね。毛も想像しているより柔らかく短めなので、口の中ではそれほど邪魔にならないレベルです。軽く塩味がついているのですが、噛めば噛む程うま味と香ばしさが出てきて美味しいです。甲殻類のようでもあり、どことなく木のような香りも混じっているように思います。

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中の空洞は多く、持った感じもかなり軽いです。足もキュッと折りたたまれてコンパクトですが、口を傷つけやすいので足を折って少しずつ食べるのがいいですね。

 

食べた感じは、食感、味、香りが合わさるといわしの煮干しをかじっているようにも思えますし、さらにそこに甲殻類の風味、どことなく木のような自然の香りも混ざっており、かなり形容しづらいですが食感も味も食べやすく美味しいです。

サクサクとした食感ですが、噛んでいると柔らかいもののしっかりとした繊維質が口に残ります。最後の方では木の香りも相まって、つまようじや割りばしのささくれを食べているような感覚でした。自然の味ですね…

虫の翅や、ツヤッとした見た目が苦手な人はぜひタランチュラからチャレンジしてみてもいいかもしれません。

 

・【タガメ

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恐らく今回のラスボスです。目を合わせてはいけません。ひっくり返して裏を見てもいけません。

サイズは大きめですが、乾燥しているのと体が平たいためかなり軽いです。食べづらさというか、形状からでしょうか、ゴキブリなどを見た際に抱く嫌悪感に近いものが邪魔をします。まじまじと見るとどんどん食べづらくなってきます。早めに食べたほうがいいです。

 

サイズも大きいので、足と胴を分解して食べていくことにします。まずは足から…と思うも硬い!!!先ほど食べたタランチュラよりも口に残ります。

食感はパキパキした感じで、あまりカラッと揚がっていないエビフライの尻尾を食べたときに近いです。味はタランチュラとさほど変わりません。味付けをしていないシンプルな素の昆虫味ってこういった感じなのかもしれないです。噛んでも中々嚙み切れず、口の水分もどんどん無くなっていってしまうため、飲み込むタイミングが難しい…

 

足を全て食べ終わったため、思い切って胴の下半分をバリバリッと食べてみましたが、やはり同じように硬くて食べづらいです。頭を含む上半分も食べてみましたが、煮干しの頭や内臓ごと食べた時の様なほんのりとした苦みが広がります。しかし、苦みとはいえ一瞬海老や蟹のミソっぽい感じもあるためそこまで嫌な感じではないです。もしかしたら煮干しのように出汁をとってみたら案外いい味が出るかもしれません。

 

タガメに関して注意点としては、恐らく頭から出る苦みが噛むとどんどん広がって飲み込みづらくなります。しかし、よく噛まないと喉に引っ掛かってこれまた飲み込みづらいという罠。

加熱乾燥されているため、エキスを使用したタガメサイダーのような爽やかな香りは無いためそこも注意点でしょうか。

 

タガメの佃煮

そのまま食べた時の失敗を生かして、頭、足、翅を胴から取り外して調理していきます。こうすれば比較的味も硬さも食べやすくなります。(後々食べてみて分かったのですが、タガメの裏側の足の付け根部分、こちらも硬いので取った方が良いです。外のアーマーを剥いで中身のみを食べるイメージです。)

そして、分解してもまだ少し硬そうだったので醤油、酒、みりん、砂糖を合わせ、少し水で薄めたものに30分ほど浸し、汁気がほぼなくなるまで煮たら完成です。

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煮ることで少し柔らかくなり、味も相まってそのままよりもかなり食べやすくなりました。特に頭のすぐ下の首?背中?の部分をほぐすと、海老や蟹の身のような食感で美味しいです。全体的な味としても、うま味が煮汁と馴染んで煮魚のような味わいです。少し硬い部分があったとしても、「魚の小骨かな?」と感じるくらいには違和感が無くなった気がします。

                                                                               

タイでは漬け込んで調味料としても使われるらしく、そのまま食べるよりもタガメから出てくる出汁やうま味、エキスを楽しむのがいいのかなと感じています。次にタガメを注文するときは、タガメ出汁にチャレンジしてみたいかも…

 

 

・おわりに

元々食べるのが好きで、色んな食文化を体験してみたいと思い昆虫食を注文したのですが、かなり面白い体験でした。

TAKEOさんではとりわけこおろぎに力を入れているというか、こおろぎを使った商品が多く、二本松こおろぎや広島こおろぎのように日本各地のこおろぎを取り揃えているのが印象的でした。クセの無い味と一口でパクッと食べられる手軽さ、粉末にしても分かるうま味など、こおろぎは昆虫食への入り口としても優秀ですね。

 

割とどの昆虫食のレビューでも「海老っぽい」「甲殻類と同じ」といった表現があったのですが、実際には想像していたよりもっと深みのある食べ応えでした。一口に香ばしいといっても、昆虫によっては豆のようでもあり、鰹節のようでもあり、はたまたフルーツのようでもあり…と様々です。もちろん私が表現したものが絶対ではなく、食べる人によってイメージは大きく変わると思います。

食べ始めは分からなかったのですが、段々と共通の虫っぽい香りが分かったような気もします。植物のような、生き物のような、土のような…

 

人それぞれに昆虫の好き嫌いとその理由がありますし無理に押し付けることもしませんが、その機会と食べてみたいと思う気持ちがある人はチャレンジしてみて損はないと思います。

今までの経験で培われてきた自分の味覚の領域がどんどん広がっていく感じというか、「○○っぽいけど△△っぽさもあるし、でも結局□□っぽい…?!」という体験ができて楽しかったです。